【2/2】嫁は会社の上司と、以前から想いを寄せ合っていた。そして出張先でキスした。上司に何処かで休憩しようと誘われ、嫁は自分の意思で頷いた。
【1/2】
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514: 名無しさん@おーぷん:2014/10/08(水)13:02:09
ID:Uyrbvm7Olホテルの前で「お母さん頑張れ!」という留守電の声を聞いて目が覚めたこと、そこで私は生まれ変わったということ、そこから七年間食事にいったことも想いを寄せることもなくなったということ、だから今の自分とあの時の自分は違うということ、今は俺の事しか見てないということを言われた多分、そこに嘘はなかったと思うしかし俺は脱力した「やっぱりな、どうりで君が俺なんか好きになるのはおかしいと思ってたんだよ、そういう事か」そう言って俺は玄関の床にへたり込んだ。「ちがう!ちがう! 優しくて素敵な人だと思ったから結婚しようと思ったの!」「子供ができて三年も上司に想いを寄せてたって、それじゃまるで俺はピエロじゃないか」「でも今は違う! あなたは天が私に授けてくれた運命の人だと思ってる! 私を生まれ変わらせてくれた運命の人だと思ってる!」「じゃ、何で携帯に出なかったんだよ、次期社長様とラブラブな時に支社勤めの小物が鬱陶しいと思ったんだろうが!」「凄く葛藤してたよ! でももう手遅れだって、汚れた私があなたの電話に出る資格なんかないって思って出れなかったの!」「やった方は悲劇のヒロインに浸れて良いな、裏切られ続けてた側はたまったもんじゃないよ」いつも穏やかな嫁が涙と鼻水まみれになって泣き崩れた。「トラブル処理は嘘だったんだろ」「ごめんなさい」「ひとに心配させといて、悠長に観光巡りしてたんだって?」嫁はもう言葉も発することもできずに肩を震わせるだけだった。「ひとをバカにするのも程々にしろよ」蚊の鳴くような声で、申し訳ありませんという言葉を搾り出すのが精一杯という様子だった。
515: 名無しさん@おーぷん:2014/10/08(水)13:02:35
ID:Uyrbvm7Ol俺は二つに一つどっちか選んでくれと言った。え?、と嫁が顔を上げた。君が出て行くか俺が出て行くか決めてくれと俺は言った。嫌だ!私出て行きたくない!と嫁がヒステリックな声を出した。分かった俺が出て行く、君の方が稼ぎがいいしな、当然の権利だと俺は言った。待って!と言いながら去ろうとする俺のシャツを嫁が引っ張った。暫く嫁は嗚咽を漏らしながら泣いていたが「私が出ます」と小さな声で言った。「支度は手伝うよ、残りの荷物は僕がまとめて君の実家に送るようにするから」「今日出てくだけなの!別れるって認めたわけじゃないの!」嫁は子供の様に床を激しくドンドン!と踏みつけた。玄関を出て行く間際に嫁はボソっと「7年間頑張ってきたんだけどな」と一言漏らしながら名残惜しそうな視線を俺に向けてきた。いろいろと話さなければならい事もあるから、また連絡するよと俺は言った、「別れないよ!絶対に別れないからね!」という言葉を残して嫁は我が家を出て行った。家に一人残されると彼女の財布がテーブルに置きっぱなしになっているのに気づき慌てて追いかけた。遠目に嫁が公園に居るのが見えた。携帯で誰かと話していた。俺は反射的に公衆トイレの影に隠れて誰と話しているのかを探った。「何で今頃蒸し返すような事を言うのよ!」と嫁が今まで見たこともないような凄い剣幕で捲くし立てていた。その言葉で上司と話しているのが分かった。俺が始めてみる嫁の怒の側面だった。暫く罵詈雑言を上司に浴びせかけていたが、最後に「絶対に許さないからね!」と言って携帯を切った。俺が居るのに気づくとハッとした表情を見せた。「財布」「ありがとう」と言いながらも嫁はいかにも不満そうに唇を尖らせていた。不満そうな顔のまま去っていった。たしかその時も、7年間の自分を見て評価してほしいというような事を言われた気がするが、その辺の詳細は失念した。516: 名無しさん@おーぷん:2014/10/08(水)13:02:52
ID:Uyrbvm7Ol嫁の具合が悪くて実家に息子を預けていたこともあり、電話で事の顛末を両親に話した。最初に電話に出た父は、今にして思えば随分とトントン拍子に事(結婚)が進むなと思っていたと言われた。どうやら俺と同じ違和感を父も感じていたらしい。母からは、二人の事だから二人で決めてくれと言われた。ただ子供の事を第一に考えてあげてくれと言われた。それは親権を手放せということなのかと俺が言うと、母は泣きそうになったのか声を詰まらせていた。悪いことをした。一人で寝床に入ると暗闇の中であの日の事を思い出した。玄関先で慌てふためく母親を心配そうに見送る息子の事を思い出した。俺たちの心配をよそに嫁が上司とデートしているシーンが浮かんだ。家族だけがが占有していたはずの優しい笑顔が実は他人に向けられていた事を考えた。何だか胸がギュッと締め付けられる気がした。それから嫁と上司のキスシーンを回想した。細身な嫁の体を上司が抱き寄せるシーンが頭に思い浮かんだ。凄く惨めな気持ちになった。自分が虫けらの様な存在価値にさえ思えた。頬の痛みが消えず、起き出して鏡を見た。眼が腫れて痣だらけの無様な自分が映ってた。バカか?、お前なんか好きになる女いるわけないだろう、と独り言を呟いた。アイスノンを頬に当てながら寝たが結局悶々として一睡も出来なかった。翌日出勤前に俺の上司から電話が入った。本社へ直行せよとの事だった。本社へ行くと痣だらけの俺を皆が遠巻きにジロジロと覗き見た。既に会社中に噂が流れてる事が分かった。相手が次期社長候補だけに騒ぎが大きくなるのは当然だった。B君とC君が駆け寄って来た。C君にすいませんと何度も笑って答えた。B君が、あいつ更迭になるみたいですよと言った。じゃ、次は俺の番だなと自嘲気味に笑った。二人はまさかという顔をしていた。