3年ぶりの帰国の日、妻との空白をどう埋めようかと考えて到着ゲートに向かった。すぐさま妻を見つけ抱きしめたが、全く反応がない。不思議に思い離れて妻を見ると…
今までにあった修羅場を語れ【その21】659:名無しさん@おーぷん2017/04/12(水)00:22:24ID:p6j取り留めの無い長文で恐縮ですがご容赦ください。崩壊はある日突然訪れました。私がまだ幼い時、両親が交通事故で他界し、当時比較的若かった父方の祖父母の養育と母方の支援も受け慈しまれ育てられました。お金のことは心配ないと短大にまで進学させて戴き憧れ、目標にしていた両親が生前勤務していた企業に就職することが出来ました。就職して四年ほど経った頃、電車に乗り帰宅していると若い女性に声を掛けられ顔を見ると通勤や帰宅時にたまに見かける女性で、その日以来顔を会わせる度に会話をするようになり打ち解け名前や連絡先を交換するまでになりました。女性の名は美鈴と言い彼女の性格に惹かれ好意を抱き告白しようと思った頃、先を越される形で告白されました。私は喜んで受け入れそれから三年の間お互い愛を育み、今度は先を越されぬよう結婚の申し込みをし美鈴も感極まった表情で受け入れ、結婚しました。お互い支え合い愛し合い、本当に幸せな毎日でした。そんな生活が二年続き、そろそろ子供が欲しいと思い出した頃、会社の事情で海外支社へあくまで正式な担当者が決まるまでの一時的な措置という話で私が指名されました。私は断固拒否しましたが、適任者は私しか居ないと上司に説得され受け入ざる得ませんでした。私は沈痛な気持ちで、美鈴に報告しました。彼女は泣き出しましたが数日後、気丈にも少しの間だけだから大丈夫と言って同意してくれました。
辞令が下り、出国の当日空港に向かう車の中で黙ったまま手を握り合い、
そして出国ゲートで涙を堪えいつまでも私を見送る美鈴に私は何度も振り返り、何度も手を振り別れを惜しみました。私は遠い海外の地で少しの我慢だと自分に言い聞かせながら日々仕事に励みました。正直嫌な予感はしていたのですがいつまで経っても正式な後任とやらは決まらず一年が経ち、あと一年、次の年が来ると、流石に強く抗議はしましたがもう一年だけと延ばされ、ようやく国内勤務の内示が出た時には三年の月日が流れていました。私はすぐさま美鈴に電話をかけ、日本に帰れること。一緒に暮らせること。これまでの勤務が評価され上位部署へ配属されること。昇給することを報告しました。美鈴も嬉しそうにしていましたがどこか上の空で元気の無い印象を受けましたがその時は気にかけませんでした。660:6592017/04/12(水)00:23:19ID:p6j待ちに待った帰国の日、飛行機の窓から見える日本の地を眺めながら、美鈴との空白の三年を埋め、二人で思い描いていた将来の夢に向かって進もうと思いました。空港に着き各検査を済ませ、到着ゲートを出ると美鈴が待っており、私は彼女に駆け寄り抱きしめました。ところが反応が全く無く不思議に思い離れ彼女を見ると少し俯いたまま、ただ立っているだけで声を掛けようとした時五十代と思われる男性に声を掛けられ弁護士を名乗り名刺を渡され、美鈴のことで大切な話しがあると言われ状況が理解できぬまま弁護士事務所に連れられました。案内された応接室では私より若い男性が待っており自己紹介され、聞いたことも無い企業の経営者と名乗り、男の口から美鈴のことが好きになり愛し合っている。誠に申し訳ないが別れて頂きたい。出来る限りの補償はする。美鈴は俯いたまま消え入るような声で私に短く謝罪の言葉を発しただけですすり泣くだけでした。私はあまりにもの突然のことに現実に頭が付いて行かず声を失っていると弁護士が今後の連絡及び交渉は男と美鈴の代理人である当職を通すようにと通告され男は美鈴に合図を送り、彼女の背中に手を軽く当て守るように応接室から出て行こうとしました。私は置かれた状況に頭がようやく追いつき、男を美鈴から引き放そうとしましたが待機していた職員に二人に出入り口を塞がれ、男と美鈴は消えて行きました。その後私は事務所で強く抗議しましたが、弁護士に根気よく説得され、次回の交渉の日を告げられ一人で帰宅せざる得ませんでした。661:6592017/04/12(水)00:24:20ID:p6j地獄の日々の始まりでした。突然暗闇に放り出されたような絶望感と美鈴の居ない喪失感に襲われ何度も美鈴に電話やメールを送りましたが、メールで一通のみ弁護士を通して下さい。の返信だけで会社では配属先の慣れぬ業務と処理に追われ、業務を終えるとその足で弁護士事務所へ赴き、美鈴に会いたい一心で本人と直接話がしたいと主張するも、弁護士は手慣れているのか法律の説明と今の状況は離婚しか無いと諭すような説得に感情が爆発しそうになるのを押さえ、交渉の度に夜遅くまで精神を擦り減らし疲れ切り帰宅して一人で居ると美鈴が男と同棲しているかもしれないと頭を過り、あの男への憎しみが抑え切れなくなり正気を失いそうになれば酒で紛らわす日々を送っていました。そんな荒んだ生活の中でも、人は誰でも間違いを犯す。私にも三年もの間構えなかった責任はあるし知らず知らずのうちに自惚れ、彼女の寂しい気持ちに気付いてやれなかったのかも知れない。そのことを美鈴に誠心誠意謝り、彼女のしてしまった事を全て許し、決して責めるようなことはせず話し合えば必ず私の元へ戻って来る。兎に角美鈴と会うことが出来れば全て元通りになると信じ、それを心の糧に、心の拠り所にしていました。弁護士との交渉は平行線のまま遅々として進まず、気が付けば数週間が経ち先も見えず精神的にかなり疲れ、ふと両親に会いたいと思い、休日にお墓参りへ出かけました。墓地の駐車場に車を停めて少し歩き、お墓に近づくに連れ異様な雰囲気を感じ、表情が強張って行くのが分かりました。私が不在の間、美鈴に手入れをお願いしていた両親の眠るお墓は雑草で埋め尽くされ荒れ果て