【5/8】「退治だ」私は地球を守らねばならない。生まれて、初めて、社会のために何かをする。私は使命感に燃えていた。しかし、彼女の反撃も半端ない。何かを吹き付けられた!

【1/8】 【2/8】 【3/8】 【4/8】 【5/8】 【6/8】 【7/8】 【8/8】

188 オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 22:55:09.95 ID:oTuELf8AO
——私にはそんな経験がなかった。

思えばヘルスでも自己中心的な思いでヘルス嬢たちのおっぱいを
なめまわしていた。相手が気持よくなかろうとどうだろうと、そ
んなこと考えもしなかった。

ただ射精する。それだけを私は考えてきた。

ところがどうだろうか、あかなめは。私とあかなめは金でつなが
れた関係だった。90分。それだけの関係だった。

しかしあかなめは、私に言った。

——
SEXは気持ちでする。

思いやり。

慈しみ。

愛おしさ。

一番大切なことはテクニックでも容姿でも、年齢でもない。

気持ち。

見えるけど、見えないもの−−

189 オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 22:58:41.28 ID:oTuELf8AO
「なんてね。君が私が言ったことどう考えようとどうでもいいよ。

ただお金もらってきてもらっている以上、最善を尽くして楽しん
でもらいたいだけ。

君が気持よければどうだっていい。なんで風俗嬢にやってるか話したっけ」

「聞いていない。話すかどうかは君に任せる」

「はじめはお金。生活費じゃない。遊ぶ金欲しさ。演技していれ
ば貰えたから楽だった。

だんだんムキになってきた。夢中になる性格なんだ。昼間の仕事、
工場で技術職なんだけど、と並行して、どうやったらいやらしく
キスができるか、腰の動きができるかを考えている。

同僚見ながらどんなプレイが彼は好きなのか考えている。
決して人からほめたたえられる職業なんかじゃない。
いろんな意見があるけど、私はそう思う。
だからこそ私には矜持(きょうじ・誇りのこと)がある。

一人一人満足してもらいたい。特に童貞の君にはそう思う。私に
は責任がある。

私とのセックルがこれからの君のソープ生活を左右するの」

「だいぶキャラが変わってきたな」

私は指摘した。

彼女は風呂の中で腕を組んで胡坐をかいた。

190 オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 23:01:36.59 ID:oTuELf8AO
「そこなんだよなぁ。どうお客さんを迎えたらいいのかわからな
い。どんなキャラが一番なのかって。ましてや君、童貞でしょ。
私の考えだと童貞君はAVみたいなプレイを期待して来るって思っ
てるんだよね。初体験どうだった」

私は素直に言った。

「うーむ。一番いい方法がわからない。ごめんね」

「なぜわからないか教えてあげようか」

「女には男の心がわからないっていうんでしょ。水と油なんだね、
男女の気持ちって」

「違う。前に進んでいるからわからなくなるんだよ」

「単刀直入に答えをいいなさい」

「あまり考えすぎず、自然に向かうことだ、と思うよ」

「それが一番か」

とあかなめは目をこすった。

「まあ風俗嬢なんかに言われたかないって思うだろうね、こんな
こと。でも自分で決めて続けた仕事だから、カッコつけさせて」

「なぜこの話をした」

「こう言ったら君も『偉そうなこといって手を抜いている』って
文句が言いやすいでしょ」

どうもあかなめは思い込みが強いみたいだ。
一生懸命な奴は怖い。視野が狭くなってしまっている。
私はとても抗議しにくい。先ほど言った苦情に罪悪を感じた。

——
しかし、この一連のやり取り、しぐさを見て、私は決めた。
あかなめに童貞を贈ろう。

191 オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 23:03:35.70 ID:oTuELf8AO
いかなることでも道がある。
その道を極めることは全裸でチョモランマを征服するのと同じく
らい困難だ。

道を歩くときに出会う、吹雪、寒さもろもろの困難。

それを耐えしのぐのは何か。

——
才能か

違う。

——
運か。

おしい。

——
んじゃなに?

答えよう。

矜持だ。誇りだ。

その道を選んだ己を尊ぶ魂だ。

192
オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 23:07:50.78 ID:oTuELf8AO
むろん迷いはある。
なんでこんなことをしているんだろう、俺は、あたしは。

こんなことに意味はあるのだろうか、俺のやっていることは、
あたしのしていることは。

当然だ。人間だもの。

でも思い出せ。

その道を選んだ時、君は、俺は、その時一番最善な道を選んだは
ずなんだ。

それは偶然よりも必然と表現してもいいかもしれない。

一番の不幸は失敗することでも逃げたことでもない。自分の選択
を後悔することだ。

後悔は一種の自己否定を持って私たちのもとにやってくる。


だからこそ、言いたい。
自分のことをとやかくいてくれるのは他人だ。身体的暴力、精神
的攻撃、罵声、嫌味などなど。

せめて自分のことくらい、自分の選んだ道くらいをつけてやっ
てもいいではないだろうか。

確かにどんな時でも強くなければ生きていけない。
しかし、大事な時に他人や自分に優しくなれなかったら生きてる価値はない。

矜持。それは強さと優しさを持った味方なんだ。

−—
私は言った。

「貴女に、私の童貞をささげよう」

193 オー・ハリー・ツムラ Xb1uNrfekw 2012/06/13() 23:11:39.89 ID:oTuELf8AO
「もうもらったよ」

「違う。あれは奪われたのだ」

「同じじゃん」

「違う。私から貴女に贈りたいのだ」

「君は本質を見よう。君が私を指名した。それだけでもう贈り物
は貰ったも同然なのだよ」

「!」

本質を突かれた。

「もういいかな」
と、あかなめは私のおちんちんを触った。

みるみるおちんちんは大きくなっていた。

「元気ですなぁ」

と彼女は風呂の中で私を仰向けにした。
当然だ。七日オナニーをしていない。