【3/3】「高平の前でした事を俺の目の前でもやって見ろ。」彼女が驚いた顔をした。高平の玩具に成り下がっていた彼女を俺は許せるのか。自問自答を繰り返すが、答えは出てこなかった。
【1/3】
【2/3】
【3/3】
210 : 良介 : 03/07/03 17:11 ID:6sKJFxDE
興奮は極みに達した。
私は自分を抑える事が出来なかった。
服を脱ぎ捨て、千春をベッドに押し倒した。
千春に覆い被さる。
唇を重ねる。舌を絡ませる。
千春が腕を絡ませてくる。
二人共涙を流していた。
(今日一日だけだ・・・今日一日だけだ・・)
そう何度も自分に言い聞かせながら千春を抱いた。
211 : えっちな21禁さん : 03/07/03 17:13
ID:AKVKBjeB
>>210
ああ、やっぱ抱いちゃったんだ。
214 : 良介 : 03/07/03 17:22 ID:6sKJFxDE
目が覚めると千春が台所に立っていた。
昨夜、二人は全てを忘れ何度も交わった。
「おはよう」
千春が笑顔で話し掛ける。
「ああ」
タバコに火をつけ視線をそらす。
千春を見ているのが辛かった。
私はスーツに着替えた。
早めの出勤の準備をした。
キーケースから1つしかないこの部屋のカギを抜き、
テーブルの上に置いた。
「カギは一つしかないからポストに入れておいてくれ。」
私は遠まわしに千春に帰れと言っている。
そして千春はその言葉を予期していたかの様に唇をかみ締め、
やがて静かに頷いた。
216 : 良介 : 03/07/03 17:25 ID:6sKJFxDE
「じゃあ行って来る」
その言葉を聞き千春の目から涙がこぼれた。
「もうすぐ出来るから・・ね?・・食べてって・・・」
床にはコンビニの袋が置いてあった。
恐らく朝早く起きて買ってきたのだろう。
私は再び視線を落とす。
そして持っていたカバンを置いた。
217 : えっちな21禁さん : 03/07/03 17:31
ID:eCc8oYVV
>「もうすぐ出来るから・・ね?・・食べてって・・・」
切ない・・・
218 : 良介 : 03/07/03 17:31 ID:6sKJFxDE
千春の作った朝食がテーブルに揃った。
ご飯に味噌汁、ししゃもにハムエッグ、そして納豆にサラダ。
コンビニで揃う材料と言ったらこんなものだろう。
それでもなぜか千春の味がした。
運んできたのは私の分だけだった。
「お前は食わないのか?」
「いい。良ちゃんの食べる所見てる。」
「食いづらいじゃないか」
「いいじゃない。それよりごめんね、こんなものしか作れなくて・・」
「十分だ」
219 : えっちな21禁さん : 03/07/03 17:36 ID:AKVKBjeB
どうなるんだろう・・・。
233 : 良介 : 03/07/03 18:26 ID:6sKJFxDE
千春が作った朝食を食べ終え、私は再び立ち上がった。
千春は座ったまま私の方を見なかった。
「じゃあ行って来る。カギよろしく」
千春が黙って頷いた。
私が出て行くまで、千春はその場を動かなかった。
(これでいいんだ・・)
私は自分に言い聞かせ、部屋を後にした。
440 : 良介 : 03/07/04
16:55 ID:sjh1JPwQ
午後になると私は得意先まわりを始める。
しかし今日は何もやる気が起きなかった。
一番仲の良い所へ連絡し、訪問した事にしてもらった。
缶コーヒーを買って、公園のベンチへ腰掛けた。
千春の事を想い浮かべる。まだ部屋にいるだろうか?
忘れかけてた頃に突然やってきた千春との再会。
そのお陰で今も頭の中は千春一色だ。
会わなければこんな思いをする事も無かった。
ふと、ある事を思い出した。
お門違いなのはわかっていた。
それでも私は実家へ電話した。
441 : 良介 : 03/07/04
16:58 ID:sjh1JPwQ
言うまでもなく千春に住所を勝手に教えた親父に
抗議するためだ。
今年定年退職して、普段は家にいる。
私より無口で、必要な事しか喋らない頑固親父だ。
しばらくして親父が電話口に出た。
442 : 良介 : 03/07/04
16:59 ID:sjh1JPwQ
「なぜ住所を教えたんだ。」
「なぜって聞かれたからだ。」
親父は何の事か聞きもしなかった。
それよりこの開き直った態度が許せない。
「教えるなと言っておいたろう!」
「生意気言うな!どんな理由があったにせよ、
女の子をあんなに泣かすんじゃない!」
親父が突然電話口で怒鳴った。
「理由も知らないで勝手な事言うな!」
私も公園である事を忘れていた。
443 : 良介 : 03/07/04 17:02
ID:sjh1JPwQ
「あの子がお前を裏切ったんだろう。あの子から聞いた。
随分自分を責めていたぞ。」
「そうだ。裏切りは許せない。それがなぜ教える事に繋がる?」
「いいか?年頃の女の子がそれを話すのにどれだけ勇気がいったか解るか?
しかも相手の父親にだ。俺はそれに応えただけだ。」
「・・・そんなの知るか」
「それに俺は教えないなんて約束してないぞ。
約束したのは母さんだろ?」
「ガキみたいないい訳するな!」
444 : 良介 : 03/07/04 17:04
ID:sjh1JPwQ
「お前はあの子が好きなのか?」
「関係ないだろそんな事」
「好きなら度量を持て。相手を許せる度量を持て。」
「・・・・好き勝手言いやがって・・」
「まあ たまには帰ってこい。以上!」
突然電話が切れた。
それにしてもこちらから電話しているのに”以上”で締めくくる親父には呆れた。
446 : 良介 : 03/07/04 17:05
ID:sjh1JPwQ
しばらく公園を歩いた。会社に戻るまでにはまだ十分な時間がある。
”度量”
頭の中に親父の言葉が残っていた。
千春が好きか?
−−−考えるまでも無い。好きだ。
千春と出会った事を後悔しているか?
−−−していない。
それなら千春を許せるか?
−−−・・・・・・・・。
自問自答を繰り返す。
いつになっても答えは出てこなかった。
447 : 良介(マジでごめん) : 03/07/04 17:08
ID:sjh1JPwQ
気がつくと既に5時を回っていた。
私は会社に戻る為、駅まで歩く。
駅に着くまでも着いてからも考えるのは千春の事ばかりだ。
ホームに勢いよく電車が飛び込んでくる。
お前の生き甲斐は何だ?
−−−以前は千春。今は・・・。
もう一度千春に会いたいか?
−−−会いたい。
千春が好きか?
−−−好きだ。大好きだ。
私はやっぱり千春が好きだ。
451 : 良介(マジ謝罪) : 03/07/04 17:11
ID:sjh1JPwQ
目の前の電車のドアが閉まる。
それは私をホームに残し、ゆっくりと動き出した。
気がつへくと私を乗せた電車は自宅の最寄駅へ向け、
既に走りだしていた。
許す許さないはもうどうでもいい。
私は千春が好きだ。
千春を失いたくない。
千春、千春、千春。
もう千春の事しか頭に浮かばない。
452 : 良介 : 03/07/04 17:14 ID:sjh1JPwQ
駅を出ると、自宅まで走り出した。
千春はまだ部屋にいる。
そう自分に言い聞かせ、全速力で走る。
自宅へ着くとポストにわき目もふらず玄関まで走る。
ドアノブを勢い良く回した。

