【3/3】「高平の前でした事を俺の目の前でもやって見ろ。」彼女が驚いた顔をした。高平の玩具に成り下がっていた彼女を俺は許せるのか。自問自答を繰り返すが、答えは出てこなかった。

一年前のこの日、二人はその場所から再出発した。

そしてその場所は、また新たな生活を始めるために最初に行かなけれ
ばならない場所だ。

「俺殴られないかな?」
「解んない。うちのお父さん空手やってるからなあ・・」

「うわぁ・・胃が痛い。お前守ってくれよ。」
「大丈夫だよ。何となく話しておいたから。怒ってなかったよ。」

「そうだといいけど・・」
結婚するにはいささか若い二人だ。しかし、急がなければならない。

千春のお腹の中に新しい生命が宿った。

485
  良介  03/07/04 18:08 ID:sjh1JPwQ
千春とともに歩む事を決めた。
守らなければならないものがもう一つ増えた。

迷いも後悔もない。
千春がいる。子供が産まれる。私の家庭が出来る。
私は今幸せの絶頂だ。

不安が無いと言えば嘘になる。
でも以前の不安とは百も違う。

足りないものは二人で補っていけばいい。
失ったものは二人で埋めていけばいい。

大事なのはお互いが信じることだ。

495  良介  03/07/04 18:14 ID:sjh1JPwQ
二人は扉の前に立った。
この扉の向こうに新しい世界が待っている。
千春を見た。
千春が微笑んだ。
いつも千春が隣に居てくれる。

千春が扉を開き中へと進む。
私もその後に続く。

奥から初めて聞く、千春の父親の声がする。

私は千春に気づかれぬ様、手の平の汗をそっと背広で拭った・・・

F I N

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500  良介@あとがき  03/07/04 18:16 ID:sjh1JPwQ
高平と千春の関係は同じ職場の先輩と後輩で、
千春の新人研修の担当していたのが高平だったと言う。

いつも千春と行動を共にする高平に、
仕事帰りによく食事に誘われたらしい。
高平は千春の研修担当だ。
食事に誘う口実はいくらでもある。

その日も高平に食事に誘われたらしい。
いささか酔った千春は、朝目覚めると高平が横で寝ていたと言う。
千春が推測するに、この時千春の手帳を見られ、
私の住所を高平が知ったのでは無いかと言う事だった。
それからも高平は執拗に千春を誘う。

千春は何度もそれを拒否したが、ある時高平が私に関係を暴露すると
脅してきたらしい。

505  良介@あとがき  03/07/04 18:18 ID:sjh1JPwQ
千春は私への後ろめたさを感じ、もう一度だけ高平に体を許したという。
そこからが始まりだった。

だんだんエスカレートしてきた高平は、
千春に色々な事を要求するようになった。

千春も雪だるま式に私への秘密が増え、
受けざるを得なくなったと言う。

やがて高平のSEXに溺れていくようになり、
最終的にはあのような千春になっていったのだ。

しかし、高平はそれだけに留まらずさらなる興奮を求めるようになる。
それがあの私への挑発だろう。

その時点で恐らく千春は、高平にとってただの玩具に成り下っていたのだ。

507  良介@あとがき  03/07/04 18:22 ID:sjh1JPwQ
私が全てを知り、千春との別れを決意した。
私を失った千春は高平に詰め寄った。

そこで高平に決別を告げたと言う。
高平はそんな千春を見て嘲笑うかの様にすんなり承諾したと言う。

そして間もなく千春は退職届を提出する。

私は全てを千春から聞き出した訳ではない。
若干私の推測もある。

510  良介@あとがき  03/07/04 18:24 ID:sjh1JPwQ
高平を訴える事も考えた。

しかしその高平の名を口にする度千春は憂鬱になる。
無論私もだ。

その為、私は高平と共に、この味わった苦悩の日々を記憶から抹消した。
無かった事にする。
そうする事で二人は幸せになれる。

これが二人の交際期間のに当たる部分。

千春と一緒に過ごした3年半
しかし二人の交際期間は3年間で、新しい生活へ向け今も尚継続中である。


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